創業融資の成功の鍵をにぎる業種経験の重要性とは


創業融資の成功の鍵をにぎる4つのポイントがあります。
ここでは、そのうちの一つ、業種経験の重要性について解説します。

業種経験が足りないとどうなるのか

創業計画書の「経営者の略歴等」の欄に、過去の自分の業種経験がまったくないと気軽に記載される方がいらっしゃいます。
しかし、そんな書き方をしてしまうと借りれるものも借りられなくなってしまいます。

日本政策金融公庫の創業融資では、業種経験が6年以上あることが条件のひとつとして挙げられています。
しかし、6年に足りてないからといって見向きもされないということはありません。
創業融資の申し込みでは業種経験が非常に重要視されているため、期間が短かったとしても創業計画書の業種経験の欄には必ず記載を入れるようにした方が良いのです。

業種経験の重要性

なぜ、業種経験が6年以上という条件が設けられているかというと、業種経験がある方が未経験の方と比較して開業してからの成功率が大幅に高いからです。業界に精通しているため、お客様の要求をよく把握していますし、また、事業に伴うリスクも十分に理解しているため、落とし穴にはまることも少ないのです。

業種経験が浅い方が創業計画書に業種経験を一切記載しない心情はわかります。
自身がその条件には当てはまらないと考え、記載してもしょうがないと考えてしまうのでしょう。
また、業種経験がそれほど重要視されているとは思わず、自分は融資を受けられると思い込んでしまうのでしょう。

しかし、業種経験の記載のない創業計画書では創業融資を借りることは難しくなります。

業種経験が足りなくてもアピールが大事

たとえ業種経験がなかったとしても、なにがしかの経験があることをアピールするようにしましょう。

例えば、包装資材メーカーの経験を持つ方が飲食店を開業するとしてに、開業資金に創業融資を申請したケースを挙げましょう。

「私は包装資材メーカーの営業時代、食材の包装を扱う飲食店部門に所属し、特に多くのお客様に対応していました。

単にお客様を回るだけでは受注を伸ばすことはできませんので、お店側が喜んでいただけるように、様々な助言を提供してきました。

たとえば、大阪の○○や、奈良の××などのお店と関係を築いてきました。

飲食店を運営しているオーナーは、自分のお店の中の限られた情報しか持っておらず、私のアドバイスが売上改善や利益向上につながったと、大変喜んでいただけました。

そうして、お店側と積極的に情報交換することで、次第に自分自身も飲食店の経営に関する知識が身につくようになり、どうやったら売上を伸ばせられるようになるのか知ることが出来るようになりました。」

自分のこれまでの経験と創業しようとする事業の関連性を、創業計画書の上で披露してください。
多少、こじ付けがあったとしても別に嘘をついている訳ではないので、恥ずかしがることはありません。

仮にも安定したサラリーマンではなく、大きなリスクをとって創業しようと決意した訳です。
創業したいビジネスと人生のどこかで関連する要素があったはずです。
そんな要素が無ければそもそも創業しようと思わなかったはずなので、自己分析を行い、創業計画書の上でしっかりと主張してください。

「業種経験が6年あること」の文言にとらわれないでください。

中でも店長などの、利益に直接責任を持つ業種であれば高く評価されるため、2年程度の経験でも問題なく融資を借りられることもあります。

その他にも、顧客獲得が出来る営業職、販路開拓のマーケティング、売上につながる商品開発、人の採用や教育に携わってきた場合、マネージャーなどの経営に近い職種の経験などは、業種にかかわりなく応用が効いて汎用性があります。

他の職種でも活かせますので、うまくアピールすれば高い評価を得られるのではないでしょうか。

業種経験が豊富な方がよく陥る失敗のポイント

じゃあ、業務経験があれば良いか、その業種の経験が長ければ、それで問題ないかというと、そういうわけではありません。

事業に対する深い知識を持っている、ノウハウを得ていることを理解してもらわないといけません。
長い経験があろうと漫然と過ごしてきたのではないか、とか、浅い仕事しかしてきてないのではないかとか、思われてしまっては、創業融資は受けられません。

中には6年を超える経験があっても謝絶となったケースが多々あります。
経験と実績を示すことが重要ですので、キャリアや成功体験を是非、創業計画書上でアピールしてください。

ここで私が実際にサポートをして、創業融資を受けられた方の業種経験を一部公開します。

「新規店舗の店長を任されたときには、商品メニューの開発から、仕入先との交渉、スタッフの採用や教育に、設備管理まで、多岐にわたる業務を担当していました。

特に担当した店舗は、赤字状態でスタートしましたが、黒字化に成功しました。

黒字化に向けて、さまざまな取り組みを実施しました。積極的なキャンペーン展開や集客に努める一方、スタッフの接客態度の向上や明るい店づくりに注力しました。

食材の鮮度管理や調理手順もマニュアルをきっちり作成し、商品の品質を保つために細心の注意を払いました。何よりも、お客様に喜んでいただける店づくりを目指しました。その結果、黒字化に繋がったのだと考えています。

その後も、日常業務に埋もれることなく、将来的に独立することを目標としてかかげ、前向きに気持ちで仕事に取り組み続けました。店長としての数年間の経験から、お客様のニーズや売れる・売れない商品の違い、スタッフの採用・教育、モチベーションの引き出し方など、飲食店経営に必要なノウハウを身につけたと自負しております。」

創業計画書には、自分の強みを自信を持って記入してください。創業計画書に記載する業種経験は非常に重要な部分です。

業種経験の有効なアピール方法

これまで営業職やマネージャー、店長を勤めてきた方は、売上目標や利益計画などの目標を達成してきてはいないでしょうか。
そのような数字に裏付けられた実績がある方は、必ずその点を強調してください。

数字を用いたアピールは非常にわかりやすく、審査担当者に印象を残しやすいため、資料を創業計画書に添付することを是非おすすめします。

その他にも、社内や業界のコンテストで受賞した経験があるかた、雑誌や書籍で取り上げられた記事がある場合なども、その資料を創業計画書に添付してはどうでしょうか。

金融機関の審査担当者にも良い印象を与えることができます。